定義:特別な製品や調整無しで、最大限可能な限り、すべての人々に利用しやすい製品、サービス、環境のデザイン
原文:The design of products and environments to be usable by all people, to the greatest extent possible, without the need for adaptation or specialized design.
※environmentsは直訳では「環境」となりますが、実際の英語のenvironmentsは「サービス」なども含んだ意味の環境を指しますので、ここでは「サービス、環境」と訳しています。
ユニバーサルデザイン(UD)って、なに?
子供もお年寄りも、女性も、男性も、障がいのある人もない人も・・・・想像できないほど、さまざまな身体能力を持つ人々がいっしょに暮らし、同じモノを利用しています。
いろいろな立場の人がいっしょに、より便利に使えるように、製品や建物・空間をデザインしていこう!という「考え方」と、それをベースにつくられたモノや環境、サービスを「ユニバーサルデザイン」と呼びます。
今までの商品と何が違うの?バリアフリーと、どこが違うの?
健康な成人男子に焦点を当ててつくられたモノや場所は、子どもや女性、障がい者や高齢者にとっては、使いづらかったり使えないことも多くあります。このバリアを減らしていこうという考え方がバリアフリー。このバリアフリーも大切なことです。
一方、ユニバーサルデザインとの大きな違いは、バリアフリーが生活弱者などの特定の人だけに焦点を当てているのに対して、ユニバーサルデザインは特定の人はもちろんその他の人を含む全体を対象にしていることです。
【重要】「デザイン」というけれど、どんなデザインがユニバーサルデザインなの?
ユニバーサルデザインというと、「デザイン」という言葉の印象から、「ユニバーサルデザイン」という種類の「商品デザインのタイプ」「商品デザインの特徴や工夫」のことなのではないかという風に思われる方も少なくありませんが、実は違います。
「ココがこうなっているとユニバーサルデザイン」「丸みがあるほうがユニバーサルデザイン」といった物理的なデザインではく、その先にある、モノや空間、サービスが人に対して与える影響をデザインすることがユニバーサルデザインなのです。
ユニバーサルデザインは、商品デザインや商品特性を指す言葉ではなく、「人とモノや空間、サービスとの関係性そのもの」を指す「考え方」です。
ユニバーサルデザインは、製品や環境、コミュニケーションをはじめ、幅広い分野にかかわり、貢献度の高い設計につながります。
ユニバーサルデザインの考え方を身につけると、どんな風に活用できるの?
ユニバーサルデザインは人と物との円滑なコミュニケーションを目指す考え方です。
作り手の方は、より多くの人に喜ばれる使いやすい、分かりやすいモノづくりに活かします。
消費者の方は、本当に自分に必要な製品を探すために活かしたり、日々の生活の中で、物と自分との関係性を再構築するために活かすこともできます。
人と人のコミュニケーションが大切なことは言うまでもありませんが、人と物とのコミュニケーションが改善されることで、解決されることも実はかなり多いのです。
たとえば、「業務用機械」。新人がなかなか操作を覚えないために、先輩が教えるのが大変で、イライラしていることがあります。そのような状況では人間関係も悪くなる恐れがあります。もし、覚えやすい「業務用機械」であれば、本人にとっても、先輩にとっても楽で、イライラせず、人間関係にも良い影響を与えられる可能性があります。
他にも、みなさまに身近なものとして「バスや電車」を例に、ユニバーサルデザインを使って出来ることを考えて見ましょう。
- 時刻表や路線図を見やすくする。
- バスや電車の待ち時間を快適にする。
- バスや電車の乗り間違えをなくす。
- 買うべき切符と購入方法がパッとわかるようにする。
- 切符の買い間違いをなくす。
- 乗り降りをしやすくする。
- 乗っているときの安全性や快適性を向上する。
- 利用者のうっかりミスや誤認(見間違い、理解し間違い)による問題の防止と解決
- 従業員のうっかりミスや誤操作による問題の防止と解決。
- 目的地を探しやすくする(迷わなくなるようにする。)
すべて人で解決しようとするのではなく、人と物とのコミュニケーションを改善し問題を解決する、というユニバーサルデザインの活かし方があるのです。