ユニバーサルデザインには「これは完璧なユニバーサルデザインだ!」 と呼べるようなデザインはありません。
あくまでも「こちらのほうが、よりユニバーサルデザインだよね」という、つまり「比較級」の形でしかないのです。
図3を見てください。二つのスイッチがあります。右のスイッチは左のスイッチより大きく作られています。
右のスイッチと左のスイッチ、どちらがよりユニバーサルデザインでしょうか?
答えは右です。
右のスイッチならば、左の小さいスイッチを押せなかった人も押すことができます。
左より右のほうが利用できる人が増えている、と考えられるためです。しかし、右のスイッチは完璧なユニバーサルデザインであるといえるでしょうか。
答えはNOです。なぜでしょうか。
今、社会が変化し、想像できないほど多様な身体能力を持った人が一緒に暮らし、同じモノを使っています。そんな中、ものを使うすべての人の能力を完璧に把握し、想定するのには限界がでてきます。
また、誰かの能力に合わせて作ったものが、実は誰かにとって使いづらくなってしまう、ということも考えられます。
よって、ユニバーサルデザインは、「このデザインとこのデザインだったらこちらのほうが使いやすい人が多いだろう」という、あくまでも「比較級」の考え方なのです。