高齢者は専用品求めず、柔軟性持つ製品作り提言――通産省研究会が報告書(1996年5月10日)

■いつ?
1996年5月頃
■どこで?
記載なし。
■誰が?
通商産業省(現・経済産業省)「高齢社会対応型産業研究会」(代表・斉藤雅夫東京電機大学教授)
■何をした(する)?
高齢者の特性に配慮した製品・サービスを提供するための課題・条件について報告書をまとめた。
■なぜ?
高齢者は高齢者専用品を求めておらず、企業はすべての人が共用できる柔軟性を製品に持たせるUDを採用するべきと考えたから。
■どのように?
・報告書は高齢者約160人へのアンケートやメーカー、流通など企業40社への聞き取り調査を参考にまとめた。健康な高齢者を想定している。

・現在、高齢者専用品は身体機能の補完だけに重点が置かれ、色彩や見栄えがおろそかになりがちとして、UDを打ち出した。また使いやすさ、分かりやすさなど基礎的なニーズを満たした上で、生活を豊かにする「モアニーズ」にこたえることが肝要と指摘している。

■参考資料
「高齢者は専用品求めず、柔軟性持つ製品作り提言――通産省研究会が報告書」『読売新聞』1996年5月10日,朝刊,13面

デザイン分野で世界初の横断組織(文化往来)(1995年11月21日)

■いつ?
1995年11月頃
■どこで?
東京
■誰が?
「日本デザイン機構」(栄久庵憲司会長)
■何をした(する)?
機構発足後、最初の事業としてシンポジウム「日本のデザインを考える」を開催した。
■なぜ?
これまでデザイン界は分野ごとに協議会などを作っていたが、従来の縦割りの個別分野で対応できない問題などが生じ、総合的なまとめ役としてデザインの重要性が増したので、横断的なデザイン組織が必要になったから。
■どのように?
・日本デザイン機構には現在、デザイナーを中心に建築家やシステム工学の研究者、評論から約100人が参加しており、防災・復興などの緊急課題やエコロジーなどの重点課題の研究、国際的な交流、フォーラムやシンポジウムなどの公開活動、デザイン賞新設などの事業を予定している。

・創立記念のシンポジウムでは下河辺淳東京海上研究所理事長、グラフィックデザイナー福田繁雄氏、インダストリアルデザイナー鴨志田厚子氏らが講演した。下河辺氏は「デザインとは意図すること。新しいものを作る時には古いものの全否定から始めるべきだ」と激励した。

・鴨志田厚子氏はシンポジウムで「UDの現状」を報告した。日本デザイン機構の発足については、「(UDが)より広がるためにも横断的な組織は有意義」と指摘した。

・日本デザイン機構の栄久庵憲司会長によると、海外でもこうしたデザインの横断組織の必要性が痛感されており、世界工業デザイン協議会などデザイン各分野の世界組織を網羅した、世界デザイン機構の設立が待たれているという。だが、具体的に横断組織が作られたのは日本が初めてで、世界の先駆けとして各国から注目されている。

・1995年11月21日の日本経済新聞では、UDは「新しい動きとして小さな工夫で身障者にも健常者にも便利に使える『ユニバーサルデザイン』」と表現されていた。

■参考資料
「デザイン分野で世界初の横断組織(文化往来)」『日本経済新聞』1995年11月21日,朝刊,40面

森林浴、より快適に 専門家が解説、歩道整備・・・車いすの貸し出しも(2004年4月24日)

■いつ?
2002年秋
■どこで?
高知県
■誰が?
甫喜ヶ峰森林公園(高知県土佐山田町)
■何をした(する)?
UDを取り入れた森林公園をオープンした。
■なぜ?
記載なし。
■どのように?
・車いすやベビーカーで利用できる木質チップ舗装の遊歩道やトイレを整備した。

・甫喜ヶ峰森林公園では、車いすの貸し出しも行っている。

・日本3大美林の天然ヒバが茂る青森市の「眺望山自然休養林」では、2001年にヒバのチップを敷き詰めた歩道を130メートルにわたって整備。今後、300メートルに伸ばす予定で、車いすでも利用できる。

■参考資料
「森林浴、より快適に 専門家が解説、歩道整備・・・車椅子の貸し出しも」『読売新聞』2004年4月24日,東京朝刊,17面

[ことばのファイル]ユニバーサル 「どこでも 誰でも」の心地良さ(2004年4月30日)

■いつ?
2003年秋
■どこで?
全国
■誰が?
自動車、電機、住宅メーカーなど120社
■何をした(する)?
「国際ユニヴァ―サルデザイン協議会」を設立した。
■なぜ?
誰でも使いやすくすれば、コストも下がると考えたため。
■どのように?
・2004年4月30日の読売新聞には、UDに関して「健常者と障害者、子供やお年寄りといった違いを超えて、できる限り多くの人が使えるように、建築や機器、日用品など身の回りのモノや空間をデザインすることを指す。1990年に米国で提唱されてから、国際的に広まりつつある。」という記載があった。

・UDの例としては、JR山手線の車内に導入された映像での乗り換え案内や音声ガイド付きの現金自動預け払い機、点字ではなく「凸文字」で階数を示すエレベーターなどが挙げられる。

・2004年4月30日の読売新聞の記事によると、日本では90年代半ばから、障壁を無くす「バリアフリー」に代わり、各企業や行政が「ユニバーサルデザイン」という言葉を使い始めたという。

・自治体では静岡県、熊本県などが積極的にUDに取り組んでいるという。

■参考資料
「[ことばのファイル]ユニバーサル 『どこでも 誰でも』の心地よさ」『読売新聞』2004年4月30日,東京朝刊,15面

[きらめきっ子]絵本点訳で広がる人の輪 植木北中=熊本(2004年5月9日)

■いつ?
2004年5月頃
■どこで?
熊本市現代美術館
■誰が?
植木北中学校(熊本県植木町舟島)生徒、約10人
■何をした(する)?
熊本市現代美術館にある絵本の点訳をした。
■なぜ?
総合的な学習のテーマ探しでUDを調べているうちに、公共施設の手すりなどに点字が使われていることに着目するようになり、授業外で自主サークルをはじめたことから。
■どのように?
・活動の原則として週1回。植木北中学校の養護の山瀬道代教論ほか、熊本市現代美術館の学芸員もボランティアとして指導している。

・点訳はシール式のシートに専用の定規と点筆を使い直径1ミリ程度の点を打ち、文章を文節ごとにハサミで切って本に貼る。目標は1人で1ヶ月に1冊。絵本の種類によっては2日間でできあがることもある。

・点字を通して「いろんな人と出会えたことがうれしかった」と生徒たちは口をそろえる。

■参考資料
「[きらめきっ子]絵本点訳で広がる人の輪」『読売新聞』2004年5月9日,西部朝刊,35面