「だれもが平等に」 ユニバーサルデザイン教室、まず天草で/熊本(2001年10月25日)

■いつ?
2001年10月24日
■どこで?
熊本県天草振興局(熊本県本渡市)
■誰が?
熊本県
■何をした(する)?
「ユニバーサルデザイン」(UD)の勉強会を開催した。
■なぜ?
まちづくりから生活用具までだれもが平等で平易に使いこなせるような発想・設計を目指すため。
■どのように?
・自治体職員や建築業者ら約100人が集まり、UDの説明などを受けた。12月まで各振興局ごとに開く。

・UDは米国で始まった考え方。例えば公衆トイレを設置する場合、障害者も健常者も利用できる構造にして、余計な改修、区別・切り離しなどをしなくて済むような設計を目指す。

狩野徹助教授 暮らしに優しい設計探る(研究室) /岩手(2001年10月26日)

■いつ?
2001年10月頃
■どこで?
岩手県
■誰が?
狩野徹助教授(岩手県立大社会福祉学部)
■何をした(する)?
盛岡駅西口の県の複合施設や花巻空港などのユニバーサルデザイン計画にかかわる。
■なぜ?
記載なし。
■どのように?
・「空間と人とのやりとりを研究する」ユニバーサルデザイン。バリアフリーの概念を広げ「だれもが、安心し、楽しい」がキーワード。構造そのものではなく、ソフトを重視する建築計画を専門としてきた。

・主な研究は、まちづくりと痴ほう性老人の住居環境づくり。「点で考えるのではなく、線や面でとらえることが大事」と強調する。「車いすの人が、盛岡駅の東口から、地下へ降りるにはエレベーターがあるのに、橋の側の道路まで上がるには階段しかない」。これでは使えない。「普通の生活ができる」ことも重要だ。小さなグループに分け、家庭と同じ時間帯に食事や入浴をすれば、痴ほう性老人の問題行動が減る、と考える。来年4月、胆沢町に誕生予定のユニットケアの特別養護老人ホーム計画にもかかわる。

・「バブル」と騒がれた建築ブームのころ、大学の設計課題で、図書館へ行った。施設長が「利用するのはお年寄りや子どもがほとんどなんだから困るよ」とデザイン志向の造り方へ、不満をもらした。障害者や高齢者とかかわる転機となった。課題の設計案は、当時の建築学の主流派から不評だった。「設計では食べていかない」。研究を続けようと、東京大学の大学院に進み工学博士を取得した。大学院修了後、東京都老人総合研究所に11年間勤め、99年、県立大学に招かれて岩手に来た。

LAKTAK だれもが使いやすい器求め(見る聞く探る) /長崎(2001年10月26日)

■いつ?
2001年10月26日まで
■どこで?
東京都
■誰が?
長谷川武雄さん(陶磁器デザイナー)
■何をした(する)?
「国際福祉機器展」に、新作の食器類を出展している。
■なぜ?
・だれもが安心して使える普段着感覚の器を使ってもらいたい。

・福祉機器のデザイナー仲間に影響を受け、食器をだれもが使いやすいようにと工夫した。

■どのように?
・すくいやすく、持ちやすい工夫を凝らした「LAKTAK(楽卓)」。器の温かさに使いやすさを加えたユニバーサルデザインで、使い手の側にたった器の普及を提案する。

・皿は平らな底の周りの縁を高くしているので、手の不自由な人でもスプーンですくいやすく、視覚障害者にも器の端がわかる。おわんは指がかかりやすいように底の高台部分を高くし、カップは取っ手を底につくまで大きくして握りやすくした。

・LAKTAKを提案したのは94年。今回の出展では種類を10ほどに増やし、絵柄を染め付けた。ネックとなる値段は、波佐見焼のメーカーと提携し生産を増やすことで2、3割抑え、1人用セットで約1万2千円に。試作品は完成し、年末から生産、販売を始める。

・精神障害者のグループホーム「オープンハウスむつごろう」は2年前からLAKTAKを採り入れ、16人の利用者が使う。

・今年の高校家庭科の教科書用の資料にユニバーサルデザインの食器としてLAKTAKが紹介された。

・長谷川さんは日用品の食器を中心に陶磁器のデザインや窯焼きを手がけてきた。工房のそばに2年前に開いた15坪のギャラリーには、白や青みを帯びた透明感のある磁器が500点以上並ぶ。

・LAKTAKを含めた長谷川さんの工房展が今月28日まで、森山町唐比北のギャラリーで開かれている。問い合わせは電話0957・36・2380へ。

鑑賞希望者・モデルを募集 静岡でファッションと映画ショー/静岡(2001年10月30日)

■いつ?
2001年10月頃
■どこで?
記載なし
■誰が?
静岡県朝日会
■何をした(する)?
鑑賞希望者とファッションショーのモデルを募集している。
■なぜ?
12月11日に、さんらいふ「いきいきファッションとシネマショー」を静岡市御幸町のサールナートホールで開催する。
■どのように?
・ファッションショーは午後1時と6時からの2回あり、年齢や性別、障害の有無などに関係なく、だれもが着られるユニバーサルデザインの服などを披露する。デザインは、県浜松工業技術センターの小杉思主世(しずよ)さんが担当。浜松地方で生産された綿を使う。

・入場無料。ただし、アフガン難民支援のために300円以上の募金を求める。募金は朝日新聞厚生文化事業団を通じて支援機関に届ける。定員は各回250人(先着順)。往復はがきに住所、氏名、電話番号、人数、鑑賞希望時間を書いて、「さんらいふ」(〒420・0853 静岡市追手町7の1)に申し込む。

・モデルは、年齢や性別は不問。親子、祖父母と孫など家族でモデルになってくれる人を各回20人募集する。はがきに希望者全員の住所、氏名、電話番号、年齢、性別を書いて、「さんらいふ モデル係」(〒420・0853 静岡市追手町7の1)に申し込む。11月30日必着。問い合わせは、さんらいふ電話054・251・7029へ。

ユニバーサルデザイン(「しょうがい」って何?第2部:1)/福島(2001年10月31日)

■いつ?
1995年
■どこで?
三春町福祉会館(福島県三春町)
■誰が?
三春町
■何をした(する)?
三春町福祉会館を建築した。
■なぜ?
記載なし。
■どのように?
・入り口のスロープのこう配は約8%と緩やか。受付テーブルは下部がえぐってあり、車いすのまま職員と対面しやすくした。2階にあるデイケア施設のトイレは便座の周囲に同じ高さの木の台座を巡らし、下半身が不自由でも簡単に座ることが出来る。エレベーターは救急車のストレッチャーがそのまま入る約2・6メートルの奥行きがある。

・同町参事の森沢茂さんは「障害者や高齢者だけでなく、福祉会館を利用するだれもが使うのが前提。トイレの木の台座は、私なら本でも置こうかと思います」と話す。ユニバーサルデザインの理念に近いが、森沢さんは「建てたころはだれも、そんな言葉を知らなかった。大勢の職員が設計者に意見を伝えたので使いやすくなっただけ」という。

・県も今年度から、ユニバーサルデザイン研究会を立ち上げた。かつてグラフィックデザイナーだった森沢さんも14人のメンバーの1人。年度末までに提言書を作る予定だ。県はこの提言書をもとに、施設だけでなく道路や表示も含め、県の環境づくりに生かす方針。

・<ユニバーサルデザイン> すべての年齢や能力の人々にとって、可能な限り使いやすい工業製品や公共施設、標識などの生活環境のデザインをいう。川内美彦著「ユニバーサル・デザイン」(学芸出版社)によると、米国の建築家で工業デザイナーだったロン・メイス(故人)が70年代後半から提唱した。バリアフリーは高齢者や障害者など特定の人のために生活環境の不自由さを取り除くことを指すことが多いが、ユニバーサルデザインは多くの人が使うことが前提で、「みんなのためのデザイン」(デザイン・フォー・オール)とも表現される。