カタカナ語多用 行政白書、改善に温度差 無用な表現減り、注釈も(2003年11月14日)

■いつ?
2003年11月13日
■どこで?
国立国語研究所
■誰が?
国立国語研究所
■何をした(する)?
外来語(カタカナ語)の言い換え案を十三日、二回目の最終提案四十七語を発表した。
■なぜ?
官公庁の文書などでわかりにくいカタカナ語の多用に警鐘を鳴らすため。
■どのように?
・第一回と合わせ、これで計百九語の言い換え例が示された。同研究所が調べたところ、提案を始めてから、行政白書の記述などに改善が見られることがわかった。

・同研究所「外来語」委員会は、昨年十二月に第一回言い換え提案を中間発表。この前後で、文部科学、厚生労働、外務、農林水産、経済産業の各省の白書の記述が変化したかどうか調査した。

・厚生労働、外務、農林水産、経済産業の各省のうち「劇的に変化した」と評価されたのが、文部科学白書。今年二月に発行された二〇〇二年度版を、昨年一月発行の二〇〇一年度版と比べると、「バリアフリー」など四十九のカタカナ語に、これまでなかった欄外の脚注が付けられていた。「~のニーズに応え」といったカタカナ語を使う必然性がない表現もほとんどなくなった。

・厚生労働白書は、昨年九月発行の二〇〇二年版で目立った「ピーク」「シフトする」などの表現が、今年八月発行の二〇〇三年版では消え、「インフォームド・コンセント(説明と同意)」のように注釈を付ける工夫も見られた。外務省の外交青書にも、なじみの薄いカタカナ語に脚注が付くようになった。

・一方、経産省の通商白書と農水省の図説食料・農業・農村白書には、あまり変化がなかった。経産省は「努力はしているが、世界で通用する経済用語には英語が多いので難しい」としている。
 国語研究所の近藤二郎管理部長は「省庁により差はあるが、全体としてわかりやすくしようという配慮が見られる」と話している。

[デジタリアン]高齢者や障害者に優しいITを提案する 関根千佳さん45(2003年11月18日)

■いつ?
1998年
■どこで?
記載なし。
■誰が?
関根千佳さん(株式会社ユーディット社長)
■何をした(する)?
株式会社ユーディットを設立。
■なぜ?
高齢者や障害者も使いやすいデザインのIT機器やウェブサイトを研究し、提案するため。
■どのように?
・「このままでは、安心して老後を暮らせない」――。その思いをIT機器やウェブサイトに向け、高齢者や障害者も使いやすいデザインを研究し、提案する「ユーディット」(http://www.uditーjp.com)を一九九八年に設立、社長を務める。社名のユーディットは、「ユニバーサルデザイン=UD」と「IT」を合わせた命名だ。

・日本IBMに勤務していた一九八八年からの二年間、夫の赴任に伴い米国・ロサンゼルスで過ごした。そこで、高齢者も障害者も普通にいきいきと生活している様子を体感。帰国後、社長に直訴し、社内に障害者支援技術の展示や相談窓口となるSNS(スペシャル・ニーズ・システム)センターを設立、ホームページ読み上げソフトなどを次々と企画、世に送り出した実績を持つ。

・独立して一人で始めた会社は、今や正社員五人、登録社員百三十人に。UDへの理解も、設立当時は「欧米に比べ六、七年遅れていた」が、今ではかなり追いつき、社会も企業も必要性を認め出しているという。ただ、「日本で一番遅れているのは教育現場。障害者がともに学ぶ機会がほとんどないことがUDへの理解を損ねている」と嘆く。

・全国からの講演依頼も多い。「これからは、ITだけではなく、ITを利用することで社会や生活のUDを進めていきたい」と意欲的だ。そして、最終的には「ユーディットは『湯~出っと』。湯治場で悠々と老後を過ごすのが夢」。自分も誰でも、豊かに、そして活動的に過ごせる社会を願っている。

[がんばれ!NPO]楽居の会 住環境と福祉の懸け橋=千葉(2003年11月30日)

■いつ?
2003年11月中旬
■どこで?
千葉市の県教育会館
■誰が?
「楽居の会」のメンバー
■何をした(する)?
約250人のケアマネジャーを対象にした講習会が開かれた。
■なぜ?
記載なし。
■どのように?
・大半を女性が占める参加者からの質問や悩みに同じ目線で応じる。

・「一般住宅はハウスメーカーが、公共の大きな建築は著名な建築家や事務所が手がけることが多い。女性建築士は何をしたらいいのだろう」――そんな気持ちから仲間7人で、「福祉住環境」の勉強を始めて5年。それぞれ個人事務所を持ちながら、「NPOの方が制約がなく、やりやすいこともある」と会を結成した。副代表3人のうちの1人、銚子市の滑川里美さんは「長く家にいるからこそ気づくデザインがあるはず」と話す。

・同じ副代表で船橋市の亀田和子さんは「障害者のハンデを取り除くだけではなく、これからはユニバーサルデザインというだれにでも優しい住空間づくりが当たり前になる」と語る。手が不自由でも、身長差が大きくても使えるように洗面台の高さが調節できたり、車いすのまま電源に届くように従来は床から25センチほどの高さにあるコンセントの位置を40センチに上げたりするなどがその例だ。

・介護する立場の意見を設計に反映させる会の活動への評価は、「ぜひ設計をお願いしたい」という依頼が舞い込むようになったことでわかる。

全国知事リレー講座 山口、徳島、青森、宮崎の4知事が登壇=特集(2003年12月2日)

■いつ?
2003年11月4日
■どこで?
立命館大学(京都市)
■誰が?
飯泉嘉門徳島県知事
■何をした(する)?
「全国知事リレー講座」でUD公共事業を進めると発言。
■なぜ?
高齢者人口が増え、障害者の社会参画も進むため。
■どのように?
・これからは高齢者人口が増え、障害者の社会参画も進む。この時代の流れを予測して、利用者の側に立った公共施設の整備をしていこうという観点。

・バリアフリー整備も進んでいるが、最初から障害者や高齢者が使えるように作っておけば無駄も省ける。情報通信の基盤整備も都市部と山間部の格差をなくすなど、様々な面で公共事業をユニバーサルデザインで進めようとしている。

[元気王国]町立香良洲小学校 障害、高齢者の疑似体験で大変さ知る=三重(2003年12月3日)

■いつ?
2003年12月頃
■どこで?
香良洲町
■誰が?
「バリアフリー香良洲」(木下美佐子代表)が、PTAと共同で開催。
■何をした(する)?
「子ども体験フェスティバル」を開いた。
■なぜ?
講演会や疑似体験を通じて障害者や高齢者の気持ちや不便さを知ってもらうため。
■どのように?
・盲導犬と生活している三重補助犬普及協会理事長の多賀輝宏さん(66)が、補助犬法が施行された十月以降も、入店やタクシーの乗車を断られた体験をもとに「盲導犬は私の一部。バリアフリーは制度や設備よりも、心の問題」などと話した。児童らは多賀さんの話に聞き入った。

・県肢体不自由者協会の倉田大輔さん(24)の指導で車いすバスケットのシュートに挑戦したり、高齢者疑似体験では、サポーターや視野が狭くなるゴーグル、おもりをつけ、校舎内を歩き、階段の上り下りなどの不便さを実感した。

・バリアフリー香良洲は、段差などの障害を取り除く「バリアフリー」と、すべての人が使いやすいように街や製品を設計する「ユニバーサルデザイン」のまちづくりを目指している。