東急不、分譲マンション向け、住設機器、家庭に優しく――ケガ防止へ工夫凝らす。(1997年10月14日)

■いつ?
1997年11月
■どこで?
東京都世田谷区
■誰が?
東急不動産株式会社
■何をした(する)?
住宅設備機器にUDを採用した分譲マンション第一弾「プレステージ成城」の販売を開始する。
■なぜ?
安全や安心といった住まいに必要な基本性能を高めるため。
■どのように?
・「プレステージ成城」では、UDの住宅設備機器の導入にあたって消費者によって求める機能が異なるため、まず有料オプション仕様としたが、東急不動産株式会社は今後の需要を見極めたうえで、UDをマンションの標準装備にする考えである。

・オプションとして採用するのは、電線コードにつまづいてもコンセントが簡単に外れて怪我をしにくい「埋め込みマグネットコンセント」(部品・工事費含め1個1900円)、居室や廊下に設置する埋め込み式の夜間点灯ライト(同4000円)、熱線感知センサー付きの足元灯(同1万3800円)、手かざすと水がでるセンサー付きの自動水栓金具(10万円)、手すりの下地補強(トイレで6500円)と設置(トイレで2万5000円)など。

・1997年10月14日の日本経済新聞の記事では、UDについて「ユニバーサルデザインは90年ごろに米国で生まれた理論だといわれ、96年ごろに北欧を経て日本に入ってきた。これまでの経済的・機能的なデザイン一辺倒ではなく、家やモノ、都市計画に関してもだれにでも分かりやすく、肉体的な負担が少なく使い勝手の良さを追求している。従来の日本のバリアフリーに対して、 『いかにも老いを感じる』『無機質感がある』などと抵抗のある消費者の支持を集め始めている。」と記載があった。

■参考資料
「東急不、分譲マンション向け、住設機器、家庭に優しく――ケガ防止へ工夫凝らす。」『日本経済新聞』1997年10月14日,朝刊,15面

シルバー新市場戦略探る企業(3)「高齢者配慮」いかして――幅広い層に使いやすく。(1997年9月4日)

■いつ?
1997年9月頃
■どこで?
全国
■誰が?
積水化学工業株式会社,三菱電機株式会社,ソニー株式会社などのメーカー各社
■何をした(する)?
UDを意識した製品の開発を行っている。
■なぜ?
高齢者に対するメーカーの認識が変わりはじめたため。
■どのように?
・旭化成工業と建設省(現・国土交通省)の調査によると、65歳以上の高齢者の97%は自立歩行ができるという。これまで「高齢者向けの製品は限定された市場」とみて二の足を踏んでいた企業も、「高齢者対応で使い勝手が良くなれば、広い年代層に受け入れられる」と発想を転換した。

・1997年9月4日の日本経済新聞の記事によると、住宅業界では大手メーカーはほとんどの製品で高齢者に配慮した設計を取り入れているという。積水化学工業株式会社は、エレベーターを標準装備した3階建て鉄骨系住宅「ハイムデシオ」(3.3平方メートル当たり49万円台から)の販売に力を入れている。

・三菱電機は10月、UDを意識した全自動洗濯機「MAV―50L」(7万2000円)を発売。全自動洗濯機は大容量化が進み、洗濯槽が深くなっていて高齢者には使い勝手が悪い。新製品は身長が145センチ前後の人でも水槽に手が届くように開口部を広く、底を浅くしたほか、操作部も通常機種に比べ5センチ下げた。

・ソニーは製品の使い勝手を検証する独立部署「ヒューマンインターフェイスラボ」を置いた。94年、1年がかりで高齢者の筋力や視力、神経伝達速度などを総合的に測定、基礎データを整えた。このデータを基礎に、企画や試作品の段階で、高齢者が使いづらい部分の設計の変更を求め、改善案を提案する。同社は中高年の購入者も多い高級機種のビデオカメラなどの開発で成果を上げてきた。

■参考資料
「シルバー新市場戦略探る企業(3)「高齢者配慮」いかして――幅広い層に使いやすく。」『日本経済新聞』1997年9月4日,朝刊,13面

バリアフリー商品、高齢化進み需要拡大――住宅・住設機器、デザインに配慮(月曜版)(1997年3月31日)

■いつ?
1997年3月頃
■どこで?
全国
■誰が?
三井ホーム株式会社,TOTO株式会社など住宅・住宅設備業界のメーカー
■何をした(する)?
高齢者や身体障害者にも使いやすいバリアフリー商品の開発・販売を進めている。
■なぜ?
高齢化の進展による、バリアフリー商品の需要拡大や金利面で優遇措置が与えられるため。
■どのように?
・1996年秋に住宅金融公庫の融資制度の変更が実施され、一定の条件を満たしたバリアフリー化が優遇金利適用の条件の一つになった。

・三井ホームは「間仕切りや壁や通路の拡張を模様替えの感覚で、簡単なリフォームで対応できる仕組み」を取り入れた「長寿社会住宅」を発売。障害の度合いや家族構成に応じて柔軟に改装できる構造にしたことで、高齢化社会における消費者の悩みに対応しようとしている。

・TOTOは1997年3月の東京・新宿のショールーム全面改装を機に、高齢者配慮商品「レブリス」の専門コーナーを設けた。

・1997年3月当時、TOTOは寝室に近い限られたスペースに、洗面台やトイレ、バスを集めた「ニューバスルーム」を提唱していた。「ニューバスルーム」では、車椅子や介護を必要とする人でも使いやすいよう配慮した器具をそろえたのに加え、幅広の引き戸を設けてトイレ・バスを1室にすることへの抵抗感を和らげようとしている。

・メーカー各社が、だれにでも受け入れられるデザインでバリアフリー商品の浸透を図る、UD化を意識しはじめた。

■参考資料
「バリアフリー商品、高齢化進み需要拡大――住宅・住設機器、デザインに配慮(月曜版)」『日本経済新聞』1997年3月31日,朝刊,47面

森林浴、より快適に 専門家が解説、歩道整備・・・車いすの貸し出しも(2004年4月24日)

■いつ?
2002年秋
■どこで?
高知県
■誰が?
甫喜ヶ峰森林公園(高知県土佐山田町)
■何をした(する)?
UDを取り入れた森林公園をオープンした。
■なぜ?
記載なし。
■どのように?
・車いすやベビーカーで利用できる木質チップ舗装の遊歩道やトイレを整備した。

・甫喜ヶ峰森林公園では、車いすの貸し出しも行っている。

・日本3大美林の天然ヒバが茂る青森市の「眺望山自然休養林」では、2001年にヒバのチップを敷き詰めた歩道を130メートルにわたって整備。今後、300メートルに伸ばす予定で、車いすでも利用できる。

■参考資料
「森林浴、より快適に 専門家が解説、歩道整備・・・車椅子の貸し出しも」『読売新聞』2004年4月24日,東京朝刊,17面

ユニバーサルデザインの笹間焼 カップや茶わん35点を商品化/茨城・笹間(2004年5月10日)

■いつ?
2001年6月頃から
■どこで?
茨城県笹間市
■誰が?
茨城県窯業指導所と地元の陶芸家
■何をした(する)?
UDを採用した笹間焼の食器を試作し、商品化した。
■なぜ?
「食のユニバーサル化」への取り組みから。
■どのように?
・2004年当時、握力が弱っていても持ちやすい形にしたカップやスープ皿、茶碗など35点を商品化した。

・茨城県窯業指導所では2001年6月から試作を始め、皿はスプーンですくう際に食べ物が外にこぼれないよう縁が内側に反った形にデザインした。カップなど持ち上げるものは、取っ手のデザインを持ちやすい直線に改めて軽量化し、わずかな傾斜でも飲み物が口に入るように、内側を円すい型にくりぬいた。しかし、焼くと反りが戻ってしまうこともあり、強度を保っていかに薄く軽くするかなど、商品化までには試行錯誤が続いたという。

・笹間市内では、高齢者や障害者向けにUD食器を使い、食事制限がある人も食べられる低カロリーメニューを提供するレストランも登場した。

・2004年5月10日の読売新聞によると、UD食器は笹間市内にある約230の窯元のうち、13件で販売している。

・問い合わせは茨城県窯業指導所(0296・72・0316)まで。

・2004年5月10日の読売新聞では、UDは「年齢や障害の有無にかかわらず、すべての人に利用しやすい施設や製品のデザイン。1990年代に、米国の建築家、故ロナルド・メイス博士が提唱したとされ、日本でも近年、住宅や自動車、衣類など多くの分野でUDが導入されている。」と解説されている。

■参考資料
「ユニバーサルデザインの笹間焼 カップや茶わん35点を商品化/茨城・笹間」『読売新聞』2004年5月10日,東京夕刊,18面